個人事業や中小企業の方から、「Webサイトを作りたいんですが、何をすればよいですか?」「Facebookで発信したいんですが…」のような相談を受けることがよくあります。
話を聞くと、背景にあるのは、「もっと売上を伸ばしたい」、「もっと広く自社製品のことを知ってもらいたい」、それにはWebが使えるんじゃないか、ということ。つまり、Webを使ったマーケティング活動です。
マーケティングの定義もいろいろありますが、ここでは、「自社の商品やサービスが売れるための仕組みをつくる活動全般」のように捉えておいてください。
実際にどう始めるかというと、何をすればよいか分からないし、自分ではできそうにないと思っている人も多いことでしょう。
調べれば、多くの書籍やWebサイトで情報を見つけられますが、専門的すぎるものも多いですし、自社に合ったやり方なのか、判断がつかないということもあると思います。
ただ、基本的な考え方を理解すれば、それほど難しいことではありませんし、自分に合った形で始められます。
今回は、基本的な考え方を理解するために、Webマーケティングの始め方をステップで見ていきましょう。
内容
1.目的を決めよう
2.ターゲットを決めよう
3.仕組みを知ろう
4.ツールを知ろう
5.ゴール(目標)を決めよう
6.戦略と戦術を決めよう
7.始めてみよう!
1.目的を決めよう
「Webサイトを作りたい」という人に、「なぜ作りたいのですか?」と尋ねると、「サイトがあれば、どんどん注文や問合せが来るから」とか「とりあえず会社紹介のサイトがほしいから」などの回答が返ってくることがあります。
それはそれでよいのですが、Webサイトを公開するだけではあまり効果は期待できません。Webサイトを手段の一つと考えたWebマーケティング全体のプロセスを考える必要があります。
まずは、何の目的でWebマーケティングを行うのか、を考えましょう。
例えば、
- 「商品・サービスを知ってもらいたい」
- 「商品・サービスを購入してもらいたい」
の2つの場合でも、Webサイトの作りやマーケティングのプロセスは、かなり異なってきます。それぞれの目的に合った仕組みを用意しなくてはなりません。
目的がはっきりしないまま進めてしまうと、中途半端なやり方になってしまい効果が上がりません。取り組む前にしっかりと考えおくことが大切です。
2.ターゲットを決めよう
目的と合わせて考えなければならないのが、「誰に」対してマーケティングを行うかです。日頃、商売をされている方であれば、そんなのお客さんに決まってるだろ、と思われるかもしれませんが、いざどんな人がお客さんなのか具体的に書き出してみると、曖昧だったりします。
「誰=ターゲット」なのですが、それを決めるには、調査分析が必要です。大手企業であれば本格的に行うでしょうが、予算がない場合でも、自分の会社の顧客リストを調べたり、お客さんの声を聞いたりして、これからどういうお客さんを増やしたいかを考えることはできるはずです。
そうやって調べると、顧客を何らかの形に分類できると思います。分類することを「セグメンテーション」といいます。分ける基準は、年齢・住んでいる場所のような属性、何を好きかのような趣味嗜好、購入頻度などが一般的です。
どのセグメントに対してマーケティングを行うのか、それを決めるのがターゲティングです。ターゲットごとに、生活パターンも商品を購入する理由も違うはずですので、それに合わせたマーケティングを考えなくてはなりません。
3.仕組みを知ろう
Webマーケティングでは何をすればよいのでしょうか?
基本的には従来のマーケティングと同様の流れですが、スマホなどのデジタル機器やインターネットを通じて顧客との接点を持つところに特徴があります。顧客の反応などの効果測定を行いやすい、実施のコストが安いという利点もあります。
ただ安くなったといえ、インターネット市場調査や分析などは、それなりの費用がかかるため、予算の小さい会社では取り組みにくいものです。
個人や中小企業でも取り組みやすい手法は、
「情報(コンテンツ)発信」と「効果測定」です。
情報発信には大きく分けて、
- 広告(AD)
- 広報(PR)
の2つの手法があります。
広告
いわゆるネット広告と呼ばれるもので、Yahoo! Japanのバナー広告やGoogleの検索結果連動型広告、Facebook広告などがあります。期間・ターゲット・予算等を決めて広告を露出させ、通常は広告をクリックしてサイトを訪問してもらいます。
短期間に大量のアクセスを集めることや、購入や申込などのアクションにつながりやすい商材に向いているので、イベントの集客や低価格で分かりやすい商品の販売などに使えます。
クリック課金型の広告は低予算で始められますが、それでも数を集める場合は、それなりのコストになってしまいますので、使い方は慎重に検討した上で、きちんと効果検証する必要があります。
少し仕組みは異なりますが、アフィリエイト広告という成果報酬型広告もあります。
広報
一般に広報というと、プレスリリースなどを思い浮かべると思います。定義にもよりますが、Web広報には、WebサイトやSNSを通じてコンテンツを発信していく「コンテンツマーケティング」なども含まれます。
コンテンツマーケティングは、見込客を含む顧客に有益なコンテンツを提供し続けることで、優良顧客を育成しようというものです。
Googleなどの検索サイトからWebサイトの記事に訪問してもらう、FacebookなどのSNSの口コミからサイトを訪問してもらう、メルマガを購読してもらう、などの手法が用いられます。
コンテンツ制作や運営コストはかかりますが、良質なコンテンツを提供し続けられれば、広告のように一時的な宣伝効果ではなく、長期的にWebサイトへのアクセスを増やすことができ、企業や商品の価値を高められます。
効果測定
Webマーケティングの場合、発信したコンテンツに対する顧客の反応を簡単に測定することができます。検索サイトやSNSからどのくらいの人が自社サイトを訪問したのか、サイト全体だけでなくページ単位でも測定できます。
Webサイトのアクセス解析には、Google Analyticsのような無料ツールも提供されています。このようなツールを使ってコンテンツごとの効果検証を行い、マーケティングの精度を高めていくことが可能です。
以上のような考え方に基いて、目的に合ったWebマーケティングの取り組みを設計します。
4.ツールを知ろう
Webマーケティングを行うための基本的なツールは以下のようなものです。
記事コンテンツを掲載
- 自社Webサイト
ソーシャルメディアにコンテンツを発信
- Google+
- LINE
- YouTube
情報発信型Webサイトのコンテンツ管理システム(CMS)
- WordPress
Webサイトのアクセス解析
- Google Analytics
Webサイトを設置
- 各社レンタルサーバ
これら以外にも、コンテンツ制作やメール配信の仕組みなども必要に応じて用意します。
全部の使い方を覚えないといけないと思うと大変そうですが、最初の準備さえしてしまえば、コンテンツの発信には慣れていきますのでご心配なく。
専門的な知識が必要な作業については、自分で勉強するか、専門家に任せることもできます。
5.ゴール(目標)を決めよう
目的やターゲットも決め、仕組みやツールも理解したら、次に考えるのはゴール(目標)です。
例えば、目的が「Webサイト経由の売上を増やしたい」であれば、具体的に「月間売上目標○円」というようにゴールを数値化しましょう。
これから始めるのでよく分からないよ、という人も、何か仮にでも設定したほうがよいです。
Webマーケティングは、効果検証をしやすいところが利点なので、数値目標を設定しないと、その取り組みの良し悪しが判断しづらいからです。
6.戦略と戦術を決めよう
「戦略」と「戦術」。
言葉は堅いですが、簡単に言えば、ゴール達成に向けて、具体的にどのような取り組みをするか、という話です。
戦略は、どのように目標達成するのかのシナリオです。例えば、目標が「サイト経由の売上」であったとして、
- 「サイトで資料請求をした人に、メールで商品購入を促す。そのために資料請求を増やす」
- 「ECサイトをオープンし、オンライン販売の売上を増やす」
のようなものを考えます。
戦術は、その戦略における実際の取り組みです。
「商品に興味をもってもらい資料請求を増やすために、商品のテーマに関する記事を月に○本発信していく」
のように具体的に決めていきます。
7.始めてみよう!
ここまで準備できれば、いよいよ開始に近づきます。
コンテンツマーケティングであれば、発信するコンテンツを考える作業に入ります。
また、実際には、Webマーケティングの予算も考えなくてはなりません。
とはいえ、これから初めてWebマーケティングに取り組むのに、戦略とか、コンテンツの中身とか、よく分からないよ、という人も多いことでしょう。
今まで書いてきたことと矛盾するようですが、まずは慣れるために、なんでもよいからコンテンツを作成してSNS投稿してみる、などすることから始めてもよいと思います。
慣れないうちに無理に目標を決めて取り組んでも成果につながらないため、ツールの使い方やコンテンツ制作にある程度慣れてきた段階で、目標や戦略などを具体的に決めていっても構いません。
まずは小さなところから始めてみましょう!